テディ=ベア
第一章 山田花子(仮)は性格が悪い


 見たこともない森の中、パニックになったわけでも、頭が真っ白になったわけでもなく、今度はトリップか、と自分の運のなさに呆然とした。
 青一色の森の中、現実離れした植物や動物を目の当たりにして、ここが今まで自分が生きてきた世界じゃないってことくらいはわかる。
 あーやばいなー、終わったなーって思っているのに、こういうときに限って、どうして関係のないことばっかり頭に浮かんできちゃうのかなぁ。

 物心ついた頃には前世の記憶が当たり前にあった。
 前世の記憶があったおかげで、「前世の記憶があるなんておかしい」ってこともちゃんと心得ていた。当然、子供らしさなんて微塵もない、今思い返しても実に可愛げのない幼少期だった。
 “前世の私”に対する周りの評価は、総じて「性格が悪い」の一言に尽きる。自分に対する努力だけは怠らなかったおかげで、成績も見た目もさほど悪くなかった“前世の私”は、周囲からの評価を「できない奴らのひがみ」と切り捨てていた。ね、性格悪いでしょ。
 おまけに、自分勝手、自分本位、自分が一番、自分が全て、そんな自己中心的性格を“前世の私”は隠そうともしていなかったのだから友達なんてできるわけもない。自業自得というものだ。絵に描いたようなクソ女。
 で、そんなたいして役に立たない、胸糞悪いだけの記憶を持って生まれ、それを教訓に今度こそは性根の真っ直ぐな人間になろうと努力していたなら、こんな事態にはなっていなかったのかもしれない。
 でもさ、考えてもみてよ。最初から前世の記憶があるってことは、そのクソ人格をベースに今世の人格が形成されるってことでしょ。それって終わってない? ある程度人格形成されたうえで、ある日いきなり前世を思い出しました、ってことならなんとかなったかもしれないけど、ベースがクソ人格だもん、そんなの無理に決まってる。
 それでも今世は、一見人当たりのいい行動をとってきたおかげで、性格が悪いと表立って言われることはなかった。人当たりのいい行動を心がけながら、頭の中では悪口を言いまくり、常に自分の思い通りになるよう他人をさりげなく誘導しながら物事を進めていく。今世ではそれを腹黒と言う。もしくはサイコパス。
 そんな私の異常性を一番間近で見続けた両親は、ゆっくりと、ゆっくりと、私との距離を広げていった。少しずつ、少しずつ、私も仕方ないと諦めていった。

 そんな現実逃避真っ只中の奇妙な森の中で、クマさんに出会った。
 実際にそれはクマさんだった。
 びっくりするより先に、まじまじと見てしまう。
 クマみたいな人でもなく、クマそのものでもない、クマさん。なぜなら、ちゃんと服を着ている。しかも「娘さん、ここは危険だ、お行きなさい」と言葉を話している。実際には「人の娘、ここは聖地だ、とっとと出て行け!」だったけど。
 クマと言葉が通じている謎も、クマが服を着ている謎も、さっき見た角が一本生えたウサギの謎も、勝手にうねうね動き回っている植物の謎も、色彩がおかしな森の謎も、この際全部横に置いといて、とりあえず目の前のクマさんにどっちに行けばいいかを尋ねた。だってほかに訊ける人いなかったし。
 開いた口が塞がらないと言わんばかりのクマさんがむっつり指差した方向に、言われた通りとっとと出て行こうと全速力で駆け出した。

 クマさんの指差す方向に走ることしばし。
 沈む夕日の目映さが目に突き刺さる。走れど走れどいつまで経っても森を抜け出せない。ぜえぜえと息が上がって苦しい。ごつごつした森の大地に足を取られないようそれはもう必死に走っている。必死すぎて、背後にクマさんが迫っていることに気付きもしなかった。
「おせぇ」
 いきなり聞こえた低い呟き。さっきのクマさんの声だ、と思って振り返るより先に舌打ちが聞こえてきた。悪口の次は舌打ち。態度の悪いクマさんだ。
 次の瞬間、ひょいとばかりにクマさんの肩の上に担がれていた。
 さっきまでとは明らかに違うスピードで左右の景色が流れていく。クマさんがすたこらさっさと森を駆け抜ける。
 視界が開けたところでやっぱりひょいと降ろされた。
 その場で胃の中身とご対面したのは仕方ないと思う。だって全身シェイク状態だったし。腸の中身とご対面するよりはマシだと思う。
「きたねぇ」
 このクマさんは性格が悪い。まあ、人のことは言えないけど。

 第一印象最悪のクマさんは、酸っぱい匂いを漂わせる私から少し距離を取って歩いている。私だって口の中が気持ち悪いし、できることなら今すぐうがいだってしたい。
 その態度の悪いクマさんに連れられて、森を抜けた先に見えた丸太の柵で囲われた集落にたどり着いた。
 クマさんは集落の入り口にある井戸で水を汲んで、うがいをさせてくれた。親切なクマさんだと思った途端、「臭くてたまらん」と悪態を吐かれた。……親切とは。
 その集落にいたのは全員クマさんだった。
 踏み固められた土の道の左右に、ゆったりとした家々が建ち並んでいる。どこかで見た別荘地みたいだ。
 これは保護されたということだろうか。
 言葉が通じるなら悪口より先に説明してほしい。
 よくわからないまま集落の中程にある大きな家に連れて来られた。
 ゆったりとした広い部屋を宛がわれ、果物やら木の実やらが与えられ、とりあえず硬いベッドらしきものの上で、毛布らしき仄かに獣臭い布に包まれて、お風呂に入りたいなと思いながら横になった途端、一気に疲れが出たせいか猛烈な眠気に襲われて、うっかりすこんと眠ってしまった。私の警戒心どこ行った。
 仄かな獣臭さが、唯一“前世の私”の性格の悪さを気にしなかった、かつての飼い犬を思い起こさせた。



 翌朝、体の節々が痛くて目が覚めた。特に腰と首がバッキバキだ。足もむくんでいるのか重だるい。
 頭の中で硬すぎるベッドの悪態をつきまくりつつ、昨日用意されていた見慣れない果物らしきものを恐る恐る食べた。甘味よりも酸味の強い素朴な味。一緒に出された生の木の実なんて道具もないのにどうやって殻を割れというのか。不親切極まりない。
 昨日はよくわからないまま流されるようにこの集落に連れて来られて、そのまま泊めてもらったけど、いまどき親切だけの人なんていない。あのクマさんがいい例だ。
 これ、明らかに軟禁だし。押しても引いてもドアも窓も開かない。それでも牢じゃないだけマシなのか。
 何しろここはクマさんの集落。獣人ってやつだろうか。漫画やアニメではぬいぐるみのように可愛らしいのに、実物の二足歩行のクマさんは普通にクマだった。マジ怖い。しかもでかい。
 昨日取り乱さなかったのは、考えることを放棄していたからに違いない。だって異世界トリップだよ。役に立たない前世の記憶があるだけでも十分におかしな人生だったのに、今度は異世界トリップって……。

 今までと同じ体で、直前まで着ていた部屋着のまま、意味もわからずここにいる。
 目視できる手も足も全ての感覚も今までと同じ。持ち物は一切ない。直前まで部屋で膝を抱えて考え事をしていたのだから仕方がないにしても、何かひとつくらい換金できそうな何かをポケットに入れておくんだった。唯一底のしっかりしたルームシューズを履いていたのが救いだ。裸足だったら泣けた。クマさんに担がれたときに脱げなかったのが不思議で仕方ない。
 もし、ここが獣人だけの世界だとしたら人の姿は異質なはず。でも、この集落のクマさんたちが人の姿に驚いている様子はなかった。あの口の悪いクマさんも当たり前のように「人の娘」と言っていた。ってことは、人も存在しているはずだ。だとしたら、人の集落に行った方がいいのかな。頼めば連れてってもらえるのかな。その対価はこのパーカーでなんとか……ならないだろうな。
 タダで連れて行ってくれるほど人は親切じゃない。私だってそんなこと頼まれたくもない。それでも、タダで連れて行けよ、とは思う。思うだけはタダだ。
 もしくは……、泣き叫ぶ? 元の世界に帰して! とか言いながら。あざとさ全開で。
 他人にタダで優しくしてもらえるのは、性格はともかく可愛い子の特権だ。相手の立場で考えれば、そんなの知ったこっちゃない。それを覆すだけの儚さと可愛らしさ必須。見た目も性格も可愛げのない私がそれをやったら、ただただウザいだけ。ひたすらにウザいだけ。私なら確実に無視する。見なかった振りは得意だ。
 そもそもクマさんたちに人間的可愛さやあざとさが通用するのか。まずはそこからだ。

 こんなことなら、両親に前世の記憶があったことを話しておけばよかった。
 もしかしたら、何かが変わっていたかもしれない。今更だけど。

 それにしても。
 異世界トリップなら異世界トリップらしく、もっと華々しい舞台が用意されていてもよくない? 勇者とか、聖女とか。……それはそれで面倒か。どうして他人のために苦労する必要がある? しかも縁もゆかりもない異世界の人のために。馬鹿馬鹿しい。
 華々しくなくてもいいから、チートとか特殊能力とか、そういう付与はないわけ? ……それも面倒か。代償として何かに巻き込まれること必須だ。アホくさい。
 そう、特殊能力といえば……、クマさんの言葉がわかる。あと、壁に掛けられている額の文字が読める。ちなみに書かれているのは一日一善。ご丁寧に立派な額に入っている。



 取り留めもなくぐるぐる考えていたら、いきなり部屋のドアが開いて死ぬほどびっくりした。ノックくらいしろ。
 この家は全てが木でできている。昨日見た限り、この集落の建物は全てログハウスのようだった。家具も小物も何もかもが木でできている。
 そういえば、ドアを開けるときに解錠の音がしなかった。もしかして、鍵がかかっていたわけではなく、ドアが重すぎて開かなかっただけかも。開いたドアがものすごく分厚い。いや、音の鳴らない鍵かもしれない。どっちにしてもトイレ付きの部屋でよかった。汲み取り式だったけど。
「中央に連れて行く」
 この声とこの言い方は昨日のクマさんか? 「めんどくせぇ」と愚痴っているから多分そうだ。
 私にクマさんたちの見分けは付かない。着ている服と多少の体格の違い、声の違いくらいでしか判断できない。見た目はみんなヒグマっぽい。
 どうやら私は中央という場所に連れて行かれるらしい。どうにも怪しい。クマさんのニュアンスから、親切心というよりは必要に駆られてという感じがする。中央って一体どこの中央だろう。

 今度は俵担ぎじゃなく、幼児を抱くように片手で抱き上げて運んでくれた。それでもすたこらさっさと走るクマさんの腕の中は、うっかりしがみついて叫んでしまうほどの怖さがある。「うるせぇ」とか言うな。走るの早すぎ。
 どのくらい走ったのか。
 精も根も尽き果てて、リバースだけはするまいと込み上げてくる酸っぱいものと戦いながら、なんとかやり過ごした絶叫タイムは、広場のようなところでクマさんの腕から降ろされたことで終わりを告げた。
 胃の中身との再会はなかった代わりに、腰が抜けた。
 その場に座り込む私をたくさんの人が覗き込んでいる。たくさんの人だ。人がいた。
 腰が抜けたまま、人がいたことに呆けている私の頭上で、三十、四十五、五十と数字だけが交わされていく。なんだか競り落とされている気分だ。
 ……競り落とされたよ。
 口の悪いクマさんは、絵に描いたようなエロ爺から小袋を渡され、中に入っていた鈍い金色のコインのようなものを数えている。数え終わったクマさんは「確かに」とそのエロ爺に言った後、私の顔を見てどういうわけか目を見開いた。そして、気を取り直したかのように「じゃあな」と捨て台詞を吐いてその場を去って行った。売り飛ばしたくせに爽やかに去って行くなよ。クマさんのくせに。

 だらしなく笑うエロ爺にがっちりと腕を掴まれ、無理矢理立たされ、強引に歩かされ、問答無用で馬車に押し込まれ、強制的に連れて来られたのは、随分と立派な石造りのお屋敷だった。エロ爺はこの家の当主だそうな。
 馬車の中で臭い息と一緒に吐き出された説明によると、私はこのエロ爺の妻にされるらしい。御免蒙る。ここでは妻は競り落とすものなのか? 臭い息が思考を鈍らす。窓開けたい。
 当然逃げようとした。が、エロ爺は見た目ひょろいくせに力はあるらしく、がっちり掴まれた腕はびくともしない。逃げようとしたせいか更に強く握られた。痛い。絶対に痣になっている。クソ爺!

「おかえりなさいませ」
「儂の嫁じゃ。今すぐ婚姻証明を」
「かしこまりました」
 慇懃に礼をする秘書っぽい男の人と、家政婦らしき女の人から、哀れむような目が向けられる。哀れむくらいなら助けてほしい。
 エロ爺に書斎に連れて来られ、秘書が用意した「婚姻証明書」とでかでかと書かれた厚手の用紙が目の前に置かれた。署名するよう迫られる。誰がするか。
 腕を掴む手にこれでもかと力を入れられ、あっさり署名した。痛かったし。握り潰されるかと思ったし。
 でも最後の抵抗で山田花子と書いてやった。
 だがしかし、書き終わった直後に気付いてしまった。これが偽名だと証明してくれる人なんて、ここにはいない。……終わった。
「すぐに届けてこい。娘は風呂に入れて磨き上げろ」
 何を想像しているのか、だらしなく頬を緩ませ、臭い息を吐きながら、秘書と家政婦に指示を飛ばすエロ爺。絶望しかない。この爺に好きにされるくらいなら、今ここで死んでやる。
 家政婦にたらいでできたお風呂もどきに入れられているあいだ、どうやったら苦しまず一瞬で死ねるかを考えていた。家政婦からは常に哀れみの目を向けられている。だから哀れむくらいなら助けてよ。

 カボチャパンツと袖のないカシュクール型のブラみたいなもの上から、ドレスよりもシンプルでワンピースよりも華やかという中途半端なデザインの服を着せられた。足元はルームシューズのまま。申し訳なさそうな家政婦に食堂らしき部屋に連れて来られ、食事の席に着かされた。くちゃくちゃと音を立てて食べるエロ爺の正面で、なにひとつ口にしないまま食事を終え、寝室らしき部屋に連行された。まだ苦しまずに死ねる方法が思い付いていないのに。
 とりあえず食卓から先割れスプーンを隠し持ってきた。ナイフやフォークはなかった。いざとなったらそれで首を突こう。ものすごく痛そうだけど。木製だからちゃんと刺さるか心配だけど。
 鼻息も荒く迫ってくるエロ爺の臭い息を避けながら、逃げられる場所はないかと探していたら、部屋の隅に控える秘書と家政婦が目に入った。秘書と家政婦に初夜を確認させるって、どんな変態だ。
 いきなりエロ爺が前のめりに覆い被さってきた。その下卑た顔を咄嗟に避けたのは仕方ないと思う。エロ爺は勢い余ってやたらとごついベッドの角に思いっきり頭をぶつけてぽっくり逝った。
 秘書と家政婦が一部始終を目撃していたため、先割れスプーンを握りしめていた私は疑われずに済んだ。これ自殺用だから。他殺用じゃないから。



 立派なお屋敷が示すように、エロ爺はかなりの資産家だったらしい。
 血縁は既になく、全ての財産は数時間前に妻になった山田花子が相続した。山田花子って誰だよ。私か。こんなことならちゃんと本名を書いておくんだった。
 あらゆる手配を秘書ではなくここでは家令が滞りなく行ってくれ、家政婦ではなく侍女の言う通りに葬儀を済ませ、私は未亡人となった。アホくさいほど簡単に。
 エロ爺は人望がなかったのか、葬儀は使用人たちだけでひっそりと行われた。使用人といっても、家令に侍女、料理人に庭師の四人だけ。この広い屋敷に従業員はたったの四人しかいなかった。ブラックすぎる。
 その四人にここを辞めて好きに生きてもいいと言ったら、困った顔をされた。
 ここでは職業選択の自由はないらしい。親の跡を継いで代々同じ仕事をするのが当たり前だそうで、ここを辞めても他に仕事がないらしく、それならこれからもよろしくと言ったら、ほっとされた。

 とりあえず従業員たちの衣食住を改善する。
 日も当たらず狭すぎる使用人部屋から、誰も使っていない日当たりのいい客室に移ってもらい、やせ細った彼らの食生活を改善し、継ぎ当てだらけの服を来客用に用意されているという予備服に着替えさせた。どんだけケチなんだ、エロ爺。
 おまけにエロ爺、自分が結婚できないからといって、使用人たちの結婚も禁じていたらしい。どれだけ自分勝手なんだ。さすがの私もそこまでじゃない。
 結婚を許したら、庭師は道具屋の娘と、料理人は八百屋の娘と、家令と侍女が婚約した。おかげで侍女が二人増えることになり、結婚祝いと休暇を告げたら、初めての臨時手当と休暇だと泣いて喜ばれた。どんだけ……。
 エロ爺が残した資産は一生贅沢に遊び暮らしても有り余るほどにあった。
 貨幣価値を教えられ、とりあえず使用人たちの給料を上げたら、揃って「一生付いていきます」とストーカー発言された。年に一度の手当を、サラリーマンの平均年収まで上げただけなのに。

 このよくわからない世界で私は、山田花子として生きていく。
 本当、ここどこだろう……。



 ちなみに。
 売り飛ばされた翌日、口の悪いクマさんがのこのこと様子を見にやって来た。一応助けてくれようとしたらしい。いやいや、エロ爺が生きていたら翌日じゃ遅いし。とりあえず渾身の蹴りをお見舞いしておく。
「何してるんだ?」
 きょとんとされた。むかつく! げしげしスネを蹴っていたら、「別にそこは痒くないぞ」とか言いやがった。
「お前、最後に俺に笑いかけただろう、あの爺に売ったのに。他の侵入者と違って逃げなかったし。間違って迷い込んだだけじゃないかって周りからも言われてなぁ。様子見に来てやったんだ」
 勝手に美化すんな。お前に笑いかけたんじゃない、あまりの事態に呆れを通り越して自分を嗤っただけだ。エロ爺だとわかっていて売ったなら、翌日じゃ遅いことくらいわかるだろう。来てやった? 恩着せがましい言い方すんな!

 このクマさん、聖職者なのだそうだ。あのクマさんの集落は主に聖職者たちが住んでいるらしい。聖職者が人身販売とかしていいのか!
 聖地を荒らす者は犯罪奴隷として売り飛ばされ、それが聖職者たちの収入源にもなるらしい。色々おかしい。私の聖職者に対する認識と、ここでの聖職者は別物だ。そうじゃなきゃおかしい。

 あのエロ爺が変態だったおかげなのか、奴隷としてではなく妻として届けられており、人として普通に暮らしていける。エロ爺の元妻という嫌な肩書きさえ我慢すれば。

 このよくわからない世界で私は、エロ爺の元妻として生きていく。
 だから、ここどこよ……。


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